2022年4月22日金曜日

帰ってきました

 初めてこのブログを作ってから13年が経過し、うちの姫は中学生になりました。

永年使用による「玻」使用を目指し、とはいえ努力するわけでもなく、なんとなくぼんやりと、パスポートや学校生活などで「玻」を使用しつつ過ごしています。

このブログのことも、すっかり放置していたところ、同じように人名漢字以外の漢字使用を求めての申し立てを考えていらっしゃる方から新たにご連絡を頂き、久方ぶりにこのブログに帰ってきました。

既にログイン方法も忘れていて、ここに入るのに苦戦しました。


さすがに。我が家も「ITデバイド」「電話線に差し込む」こともなくなり、何なら、子供のスマホやパソコンの使用と制限の攻防を繰り広げるくらいにはなりました。

そして、人名漢字についての個人的な感想。

正直、そもそも人名漢字として使える漢字に制限をかけたいきさつから、法律ができたのは「あんまり難しいと、役所の人も戸籍に記載する際に誤記したり、日常生活でも書き間違えたり読めなかったりって支障が出るから」という理由だった筈です。

私の学生時代、まだパソコンが大学の研究室にしかなくて、ワープロ(って、今時知らない人も多いかも)を持ってる子がクラスの半分くらい、的な頃から考えるなら、恐ろしくあらゆることがIT化されてきました。

ポケベルがドラマになったのに、今じゃスマホって、30年前には想像もしなかった世界になりました。

昔は技術的なこともあって、漢字をディスプレイに表記するのにも色々制限がかかっていたのが、今じゃ、いろんな難しい感じも、見たこともない漢字も、簡単に出せます。

もちろん、「玻」で申し立てしていた時代でさえ、役所のPCから簡単に出力できていたんです。だって、名前には使えなくても、玻名城とかいう地名人名があって、普通に入出力できていたんですから

一方で暴走万葉仮名というか、キラキラというか、「いや、教養の範疇ではなくクイズだろ?」っていう漢字での名づけが爆増して、嘘か本当か、学校の名簿にはフリガナが振ってあるらしいです。常識で読めない命名があるから。

で、人名漢字の法律がどのように変わっていくべきか。

個人的には、教養で読めない命名はダメ(光る宇宙でピカチュウ、泡姫でアリエルとか、黄熊でぷー、みたいなやつ。これは教養ではなく、連想ゲームかクイズだと思う)、人名漢字は、すでに氏として使用されている漢字は技術的に問題ないのだから使用可能、使われていなくてもJIS第二水準までの漢字は同じく技術的に問題ないのだから個別検討し採用してもいいのでは? これまで通り、「糞」「殺」「呪」みたいな、明らかに人の名前としてどうよ?っていうのは今後も制限をかけていいと思う。

法律は絶対正義ではなく、社会情勢に応じて変わっていくべきものですから、そろそろこの人名漢字も、アナログの世界からIT社会に適応したものに変わっていってほしいものです。

それと。

時々、人名漢字の申し立てをするための情報収集でご連絡をくださる方がいらっしゃいます。これまで連絡先を載せてなかったので、ブログプロフィールの✉をクリックして頂くと、メールできるようになりました。お問い合わせいただいた方には、微力ながら経験をシェアさせていただきますね。

2014年8月14日木曜日

(友人が)勝訴しました!!

嬉しいことです。

随分前にこのブログを見つけた友人から連絡がありました。
彼も人名漢字外の漢字の使用を求めて係争中ということで相談を受けました。

私達のアドバイスは、使用したい漢字が戸籍統一文字か否か、要望法務局数、を確認し、私たちも即時抗告で使用した大阪高裁の「穹」判決文の判断基準と比較して見せること、でした。

とにかく、最初の家庭裁判所で勝つことが何よりも大切と骨身にしみていたので、何が何でも少しでも有利と思えることは追加で裁判所に出すことが大切だとも。

私たちが裁判で相談していた弁護士さんの言葉を借りれば、「プラスにならないとしても、マイナスにもならないのだから、少しでも可能性のあることは書けばいい。」です。

結果、家庭裁判所でも高等裁判所でも勝訴、先日市役所は上告しない旨を友人に伝え、戸籍の追完手続きに入ったそうです。

訴状も判決文も詳細は見ていませんが、やはりこの判決は戸籍法の趣旨を考えるときに、至極当然だと思いました。

そもそも戸籍統一文字に入っている時点で戸籍事務に支障はないし、書ける書けないは本人の教養によるところが大きく、戸籍統一文字の中にも、私ごときの教養では読めないし書けないっていうものも多数あります。ましてや今どきの暴走万葉仮名と言われるような、教養があっても絶対に読めない当て字が戸籍上問題ないなら、尚更ある程度の教養がある人間に読み書きできる漢字の命名を認めない正当な理由はどこにもないでしょう。

今回の件が認められて、なぜうちの姫の「玻」が駄目なのかは釈然としませんが、これが「無知であることが自分たちの選択の自由を奪う」ということなんでしょうね。日本はやはり前例踏襲の国、初戦二戦と敗退したら、形式だけ三審目に入っても、無理ということです。

わが子の命名のために必死に情報を集めた結果このブログを見つけた友人と、お代官様よろしくねという程度の認識で裁判に臨んだ私たちとの覚悟の差なんでしょうね。

こういった相談をしてくれた友人に感謝しています。

友人以外にも、相談を寄せてくださった方が複数いらっしゃったことにも感謝しています。

常識的な範囲で、戸籍統一文字の範囲で、そうでなかったとしても「曽」判決で述べられたように「まだ人名漢字に載っていないが人名として適切であるもの」の範囲で、こういった声を上げてくださる勇気ある方々に感謝しています。一つ一つは小さい声であたとしても、一つ一つの法務局への要望は微々たるものであったとしても、この一つ一つがなければ、私たちの自由は不適切に制限されたままです。一つ一つの声によって、戸籍法の見直しと、ひいてはわが姫の「玻」の使用が認められることに今も希望を持っています。

天巫ちゃん裁判 目次 | アイム 天巫 (godpress.net) で詳細は見れますよ。



2013年7月14日日曜日


もう最後の投稿から3年近くたってしまいましたが、一つ進展がありましたのでご報告です。
実は、この夏ちょっぴりお休みが取れることになり、海外にお出かけすることになりました(^^) で、ハニー姫も初パスポート申請です。

 もちろん、パスポート自体は 戸籍通り「はな」で申請しないといけないですが、サインは実は若干自由度があるということを知り、「玻南(母代筆)」で申請することにしました。  

 
パスポート取得に関して調べてみると、法律で、パスポートに記載する名前は戸籍通でなければならないのですが、直筆のサイン(この場合は未就学児なので母代理のサイン)に関しては、戸籍通である必要はないんです。  

 
・・・というと誤解されそうですが、平たく言うと戸籍通の漢字(平仮名・カタカナ)でなくても、「本人確認ができればいい」そうです。 たとえば、ローマ字でサインしても、まだ漢字の書けない子供ならひらがなでサインしてもいいということです。もちろん、その程度のアレンジでしょうね。あくまで「良識の範囲内」で。
 本当かどうか確認していませんが、芸能人とか作家とかは通名(芸名)でもいいとかいう話も見つけました。ただし、それなりに、サインが本人を特定するものであることを証明しなければならないという「ハナシ」ですが。(これに関しては真偽のほどは知りません)
 
で、思いつきました。
「うちの玻南姫、サインだけでも『玻南』でいけないかなあ~?」って♡

 
最高裁ではまともに審議されないまま負けちゃいましたが、だからと言って「玻南」をあきらめたわけではありません。
次なる目標は永年使用で戸籍名の訂正です。

 
それには、公的書類である「パスポート」に「玻南」でのサインを認めてもらうって大きいかなあ~って思って。

 
で、トライしてみました。

 
申請窓口で書類を受け取った係の人が、まずこのことに引っかかりました。
「あの...、ここのサインと戸籍のお名前が違うんですけど?」
「はい。普段この漢字で過ごしているんです」
「戸籍はこちら(ひらがな)ですよね?」

 
 言われると思いました。もちろん準備は怠りませんよ(^^)v

 
「実は・・・」
と、保険証(漢字)、乳児医療証(ひらがな)、高等裁判所の判決文を出しました。

そして、「この漢字使用を巡っての使用を求めての裁判では棄却されたものの、高等裁判所の裁判官が『普段の生活に使用するのは差し支えないですよ』って言ってるので、戸籍等役所関係(乳児医療証)は『はな』、普段の生活(民間企業の健康保険)は『玻南』で暮らしている、という説明をしました。

「そうですか・・・。ちょっとお待ちいただいてもいいですか? こちらの書類もお借りしていいですか?」

と係の人、どうしていいか迷うようで、そのまま書類持って奥に引っ込みました。上の人の決済を仰ぎに行ったんでしょうね。そりゃそうでしょう。レアケースですから。

 
で、すんなりOKが出ました(^^)v

 
出ると思っていました。だって、パスポートに関する法律では、活字で出される部分は戸籍通と決まっていますが、直筆のサインに関しては「本人を特定するもの」とだけ決まっていて、戸籍通に記載しなければならないという決まりはないんです。なので、ひらがな・ローマ字記載もOKですし「芸名やペンネームOK」って話が出るんでしょうね。

 
ですが、この後衝撃の事実が!!!(笑)

 
持って行った写真の品質・規格に問題があり、2回も申請し直しになりました(;o;)

 
こういうところ、私たち間が抜けていてがっかりします。

 
何にせよ、いよいよ公的書類にも「玻南」使用(一部ですけどね)開始です。もちろん、これ(パスポート)については、今回の旅行を限りにお蔵入りになりかねないんですけどね(^▭^;)

2010年12月26日日曜日

ひと月以上たってしまいしたが、玻南2歳になりました。

もう、ひと月以上経ってしまいましたが、玻南、2歳になりました。
2歳の誕生日を迎えた感想は、「納得できない・・・」です。

まずは、玻南について。
 お姫として育ててきたはずなのに・・・。
「ハニーちゃん、ご飯食べた?」「くった」「『食べた』でしょ?」「うん。くった~(^-^)」
「ハニーちゃん、おいしい?」「ん、んまいっ」「『おいしい」でしょ?」「ん~まいっ」
なぜ、そんな言葉を・・・(泣)
 ふりふりを着せてきたはずなのに、裸が大好きで、この真冬に真夏のランニング一枚でベランダで遊ぶ、上は着ても、下はすっぽんぽん。着せると怒り狂って脱いでしまうのはなぜ?
 挙句は、お気に入りのものを持っていると、お兄ちゃんたちが近くに来るだけで「めっ」とあっちに行け、とたたいたり・・・(泣)姫、ご乱心が過ぎます・・・(;0;)
 先日お姉ちゃんと日向ぼっこしながら
「愛世といい、玻南といい、メロメロに可愛くて仕方がないと、こんな風になっちゃうのかなあ・・・。甘いから?でも、かわいいんだから、仕方がないよね。下の子はダメダメちゃんになるもんだよね。」
「ママ、今、サクっと躾を諦めたよね。そこ、もうちょっと頑張ろうよ」と励まされてしまいました。
「瑠都、任せるわ」
「え?私? そこ、ママの頑張るところでしょ」
とくぎまで刺されてしまいました。

 と、冗談はさておき・・・

もっとも納得できないのは、戸籍と住民票。
 引越ししたので、乳児医療証の住所が新しくなったものが送られてきました。もちろん、名前は「はな」になってました。わかっていたことだけど、乳児医療証をつらつらと眺めていると、とても違和感がありました。
 三男が小学校に上がる関係で住民票をとりましたが、やっぱり「矢藤はな」。じつに「なっとくできねえ~」って気分でした。
 市の図書館の案内は「矢藤玻南」で印字されてくるのに。健康保険証は「矢藤玻南」。通帳だって、学資保険だって、みんな「矢藤玻南」で印字されているのに。DMだって「矢藤玻南ちゃんへ」で届くのに。

 なんなんだ、この違いは。官僚っぽいこの役所のやり方は何なんだ(怒)

 とはいえ、役所としては、決められた法律通りにしているだけのこと。問題はこの法律。

 玻南の2歳の誕生日を迎えて感じたのは、この戸籍法施行規則のいびつさ加減です。
「玻」が戸籍統一文字として法務省に登録されていて(法務省のHPで、「戸籍統一文字」で調べれば見つけられますよ)、実際に戸籍に使用されているのに、なぜ使えない???

 この整合性のなさは、以前にブログで書いた通り、社会情勢やPC技術の実情に合わないので改正改正を加えた結果、変な建て増しをしすぎてつじつまが合わなくなっているところに原因があるのだと思います。

 法律が現状に追いついていない。この一言に尽きると思います。

 ブログどころではなかったこの二か月(今でも、まだ引っ越し後にメガネが見つかっていない状態ですが・・・)のあいだ、ぐるぐると考えていて私がたどり着いた結論は、施行規則の整合性のなさを何とかしないとこれからも私たちのような申し立ては続き役所も当人も困る、ということ。それを何とかして不公平感やちぐはぐ館をなくすために必要なのは、「戸籍統一文字はすべて使えることにする」この一言に尽きるってことです。

 これであれば、名古屋家庭裁判所や、名古屋高等裁判所が出した「たとえ戸籍統一文字であっても、現に使われているものであっても、それだけじゃ不十分」なんていう裁判官の頭の中にしか存在しない胡散臭い基準に頼らなくても、だれが見ても「そりゃ、もっともだ」と言える基準になる気がします。

 戸籍法の立法の経緯や趣旨からするなら、戸籍統一文字であれば役所の業務に支障が出ることはないし、「読めない」ことは戸籍法の精神にはないみたいだし(でなかったら、こんなにもたくさんのふしぎな読み方の名前が跋扈しているはずがないでしょう?)。ましてや「書ける必要はない」と常用漢字の選定の際にコメントもあったし。

 それでも、戸籍統一文字にPCで出せない文字がある(あるんですよね、これが)ので、戸籍法の立法趣旨にそぐわないとするのであれば、せめてJIS第2水準まで(これだと、少し手間がかかってもPCで必ず打ち出せるんですよ)という基準も満たす必要があるとするか。

 とにかく「すべては担当裁判官の頭の中」って現状だけは、もっというなら、「今回の裁判官ははずれだったよね~」なんて言わなくて済むくらいにオープンな基準が欲しいです。
 もちろん、法律の世界には唯一無二の事件が沢山あるのだから、法律ですべてをはっきり明記することは無理っていう事例がほとんどなのは知っています。でもね。
人間まっとうに生きていたら裁判所のお世話になることなんて人生に一度もないまま終わるのがふつうですよね。自分とは関係のない世界で、複雑な人間模様かなんかが絡んでくる事件と違って、子供の命名は、子供を持つ親ならだれでも経験する普遍的な行動で、ここに「同じものでも同じ結果にならない」なんていう法律の世界の常識世の中の非常識を持ち込まれても困りますよね。
 世界中の人間が行っている「命名」という普遍的な行動にまつわる法律は、だれからみても明らかな基準で判断しなくてはいけない。「戸籍法施行規則は限定列挙であってすべてを網羅しているわけではない(「曽」判決より)のであれば、じゃあ、どこまでの範囲なの?ってところをもっとはっきりしなくては。

 戸籍統一文字にしたら不満が出なくなるわけではないと思いますが、すくなくとも「戸籍統一文字にあるのに使っちゃダメな理由ってなにさ? 実際に使っている人がいるじゃん。」ていう不満や「立法趣旨に反していないよね。明らかに常用平易っていう基準が常用漢字である理由は何さ?常用漢字じゃない人名はどうみたら明らかに常用平易といえるのさ?」という不満、納得できない人は減るよね。

 その先のことは? それでも出てくる不満については、専門家が一字一字検討すればいい、と思います。でも、今みたいななんだかペテンにかかったような裁判官の理屈ではねられる不満はなくなると私は思います。

 この「玻」の一連の事件の流れと、戸籍統一文字の存在と、PC第2水準の意味と、今の戸籍法施行規則の不思議な状態をまとめて、戸籍法施行規則の見直しを求める意見書?歎願書?みたいなものを法務大臣に送り付けてやりたい、という野望に燃える今日この頃です。

 いつになったら実行できるかは不明ですけど。

 どなたか私の考えに賛同してくださる方で、いいアイデアをお持ちの方は
   yato.hana@gmail.com
までメールください。よろしくお願いします。

 それでは、よいお年を。

ひと月以上たってしまいしたが、玻南2歳になりました。、

2010年10月29日金曜日

引っ越しました

ついに、先月20日に引っ越しました。
 
 quintetにすごかったです。まずは、段ボールの山。結局荷造りして段ボールに入れるということは、今まで押し入れやたんすに入っていたものが表に出てくるということですが、これがすごかった。12畳あったリビングの半分まで段ボールが来て(もちろん天井までの高さで、です。この間に地震が来たら確実に死ぬと思いました)、ついに照明器具まで段ボールで埋まったので、仕方なく今度は隣の6畳の部屋に入れましたがこれも一緒の状況になり、急きょ玄関や廊下、キッチンや4畳半の部屋まで、寝室を除くすべての部屋に分散しましたが、それでも荷造りは引っ越し当日まで終わりませんでした。だって、もう部屋がないんですもの。
 次にすごかったのは、引っ越し当日のこと。引越し屋さんが部屋に入ってひとこと「うわっ」そして「お客さん、荷造りしてないものは持っていけませんから」「大丈夫です。積み込み終了までに終わりますからっ」と、引越し屋さんが積み込み作業をしている間にガンガン分別も何もなく、とにかく段ボールに突っ込む。そして、引越し屋さんがトラックに段ボールを積み込むことで生じた空きスペースに、新しく荷造りした段ボール箱をどんどん置いていくものだから、トラックにつも混んでいるにもかかわらず、部屋は最初とほぼ変わらない状況が午前中続きました。ピアノの運搬業者が来たのですが、段ボールの山に阻まれてピアノが運び出せなかったり、電気屋さんがエアコンの取り外しに来たもののエアコンに触れるところまではいれなかったりと、どの業者さんも「ちょっとすごいですねえ(笑)」と感心していました。そんなこんなで積み込んだ荷物は、きっちり6トントラック2台分いっぱいいっぱいでした。よかった~、安い業者の「大きいものは確実に運びます。で、4トントラック積み切り2台分で、残りはご自分の車で運んでいただくということで~、このお値段です。お値打ちですよ~」なんていう甘い言葉に惑わされなくて。そんなことしていたら、本当に荷物を捨てていくことになるところでした。午後の積み込みになると、部屋もだいぶ空いて来て余裕が出てきましたが、今度は荷造りの追い付かないものがあり、結局引越し屋さんも見境なく段ボールに突っ込むのを手伝ってくれました。そして、いよいよ積み込み終了、って段になって、「(引)もう、お荷物これで全部ですか?」「はい」「ここは大丈夫ですか?」と引越し屋さんが玄関わきの物入れの戸を開けると、そこには手つかずの荷物がびっしり。「…っ!!(驚)」よかったです。引越し屋さんに言われなければそのまま置いて行ってしまうところでした。もちろん、引越し屋さんと一緒に急いで段ボールに詰めましたよ。
 3つめにすごかったのは、引っ越し先の段ボール。段ボールにはみんな部屋番号が書いてあったのですが、これがそれぞれの部屋に入りきらない。そりゃあ、考えてみれば当然です。3LDKが4LDKになったくらいで、一部屋の大きさに大差がなければ荷造りの時と同じ状況になるのは明白でしたが、「広くなる~♪」と浮かれていた私にはその判断がつきませんでした。で、入りきりませんでした。そのため、最後はせっかくの分別も役に立たず、とりあえずは一番広いLDKに何もかもが突っ込まれることとなり、何が何だか分からなくなっていしまいました。
 4つ目にすごかったのは、退去後の部屋のゴミ。全部持って行ってもらったつもりでも、あとで掃除に来てみると、壁や窓には生活していた時と同じものが貼ったまま、掛かったままのものが山ほどありました。出てくるゴミ、なんだかわからない残骸、なんか、今までよくこんな汚い所に住んでいたものだと思うほどに汚れていました。廃墟マニアなんかが見たら喜びそうな有様でした。

 と、なんとか引っ越しも終わり、新しい生活と仕事が始まりましたが、荷解きは道半ばです。
 引越し翌日に一番困ったのは、朝学校に行くのにランドセルが出てこないことでした(笑)。朝から家族総出で片っ端から怪しいダンボールを開けて探しましたよ。今だから笑って話せますが、当時は必死でした。もう、向こう10年は引越ししたくないですね。

 玻南の裁判書類も、ようやっと見つかりました。また、続きを書きます。
でも、まだしばらくは無理かも(泣)。でも、頑張ります。気長に待ってやってください。よろしくお願いします。

2010年8月23日月曜日

初戦 VS 名古屋家庭裁判所の陣 ③ 初戦敗退(泣)

 ついに2学期。新学期早々に幼稚園のバザーで先週まで幼稚園に詰めっ放しで、今週からはいよいよ本格的に荷造りモードに突入です★ 引越しを来週の月曜日に控え、だんだん増えていくダンボールに囲まれてで暮らしています。公団の3LDKに住みながら、なぜか6tトラック2台分の荷物で、引越し費用も馬鹿になりません。できるところは自分でやってなるべくコストを抑える方針ですが、果たして荷造り間に合うのか? ドキドキです。

 うちのハニー姫は、最近「ブロージット玻南姫」と名前が変わっています。「え? ブロージット?それって、ドイツ式の乾杯だよね?」と思われた方、いい線行ってます(^0^)v。
 うちのブロージット姫、ちょっとお利口になってきて、「これ、流しに入れてきてね」と頼むと、いそいそと流しに運んでくれます。そして・・・・ブロージットって感じで、勢い良く流しに投げ込むのです。それが、硬いマグカップだったりすると・・・言わずもがな。流しの中のお茶碗やお皿の類は、これが勢い良く割れていくんですよね、しかも新しかったりセット物だったりするものから優先的に(泣)。うちの家族のお茶碗は全員が一人2個づつ全部で14個ありましたが、今は家族全員の分を合わせて3個しか残っていません。
 そこで、我が家のブロージット玻南姫に渡すコップは百均のプラコップのみ、という暗黙のルールが出来上がってしまいました(百均のプラコップは、他よりも軽いから)。お姫なのに百均・・・。なんか納得できない母です。
 ・・・しかし、彼女の凄さはそれだけにとどまらず。お買い物で、いそいそと勝手に子供用買い物カートにいろいろ入れてきて「あっ(ほめて)」と報告する姫。ある時「今日はいらないから、そこに返してきて」というと、胡瓜の袋をつかみ山の前に行き、いきなり勢い良くブロージット!!!・・・急いで取り押さえましたが、「何がいけないのよ!?」と言わんばかりに怒りたくるブロージット玻南姫。まったく、5人目にもなるといつ何時も女の子であっても油断してはいけないと痛感しました。

 そんな油断できない妹に比べ、三男の愛世。車に乗っていて「お母さん、今、バスにかわいい子が乗っていたよ。お目目がクリクリって大きい子」「(朝一緒に幼稚園に登園する玻南を見て)お母さん、ハニーちゃんかわいいねえ」と「お前が『かわいい』だろうっ!」と突っ込みたくなる発言が多発。穏やかで争いを好まず、親和的な愛世と、何事にも徹底して激しい玻南姫。なんか、間違ってるかも・・・と不安がよぎります。
             *      *        *
 さて、市役所とのやり取りではなんともしっくり来なかったのですが、それはそれ、これはこれ、と家庭裁判所の審判には「もしかしたらOKになるかも」なんて期待して待っていました。とにかく、うちのPCじゃ変換も容易だし、携帯だって出るし、何せ裁判所のPCでも印字されているくらいだし。簡単な字だし。後は親の心情でアピールして、「お代官様よろしくお願いします。」って気分でしたから。浅はかでしたね、本当に。
 
 そして、それはある寒い冬、多分木曜日の午後、突然やってきました。
 幼稚園から帰ってきて少しすると、ピンポーン♪とインターホンがなりました。確か「裁判所からの特別送達です」とか何とか言われたような記憶があります。裁判所に申し立てはしているものの、精神的にすっかり弛緩し切っていた私は、インターホン越の郵便やさんの言葉を聞いて急激に血中アドレナリン濃度が上るのを感じました。心臓はドキドキして、手が震えました。
 玄関で、受け取りのサインを書き、A4サイズの封書を受け取ると、とりあえずダイニングのテーブルの上に置きました。とりあえずは主人に「届いた」と、メールし、そのまま主人が帰るまで待ちました。

 主人が帰ってきました。主人と二人で封筒を挟んで顔を突き合わせて、誰も聞いていないのにひそひそと言葉を交わしました。

「来たねェ」
「うん、来たねえ。」
「意外と薄っぺらいねえ」
「うん。うすいな。薄っぺらいとさ、いい思い出ないんだよね。・・・受験の不合格通知とか?」
「・・・確かに。ヤなこと思い出させないでよ」
「ご~めん。でもさ。」
「うん、わかるけど。」
「どうかなあ」
「どうだろう。」
「・・・・とにかく、開けてみる?」
「そうだよね」

 といった感じで、おっかなびっくりあけました。私たちの血中アドレナリン濃度は上がりっぱなしです。本当に口から心臓が出そうな勢いで、バクバクバクバクと踊っています。

 それでも私は「いい返事だといいな♪」くらいに思っていました。どっちかって言うと、帰ってきた答案用紙の点数をどきどきしながら見るような気分でした。

 すると、以下の文面が目に入りました。



 平成20年(家)第3523号 市町村長の処分に対する不服申し立て事件
           
            審判
 本籍 (省略)
 住所 (省略)
 申立人  矢藤仁 昭和(略)年(略)月(略)日生
      (以下「申立人仁」という。)
 本籍・住所 申立人 矢藤仁に同じ
 申立人  矢藤清恵  昭和(略)年(略)月(略)日生
      (以下「申立人清恵」という。)

           主文
 申立人両名の本件申し立てをいずれも却下する。

           理由

第1 申し立ての趣旨および実情

 申立人は平成20年12月8日、名古屋市東区長に対し、二女玻南(はな)の出生届け(以下「本件出生届」という。)を提出したが、戸籍法50条2項に定めのある子の何用いる文字以外の文字を使用した名であるとして受理されなかった。しかし、「玻」はワープロ入力等でも難なく変換・表示される一般的な文字である上、古来より、瑠璃、玻璃と七宝のひとつに数えられる宝玉の一つであり、日本人の心に根ざしたもものである。また、「玻南」は、姉である「瑠都」と対をなすものであり、申立人両名にとって大切な宝玉であることを示す「玻」と、暖かく皆に囲まれた中で育つ「南」を指すものであって、次女が、家族みんなが待ち望んだ大切で、愛しい宝玉であるという思いが込められており、どちらの字がかけても、申立人両名の二女に対する深い思うが込められた名前になり得ない。このように、二女の名としては、「玻南」以外ありえないことや、「玻」は、日本人の心に根ざし、かつ常用平易な文字であることからすれば、本件出生届けは受理されなければならないものである。
 よって、名古屋市東区長の本件出生届の不受理処分に対し不服を申し立てる。

第2 当裁判所の判断

1 一件記録によれば、平成20年11月23日、申立人両名との間に二女が出生したこと、申立人仁は、同年12月8日に名古屋市役所に本件出生届を提出したこと、同区長は、本件出生届の子の名に使用されている「玻」の文字が戸籍法50条および施工規則60条に規定する子の名に用いることができる文字以外の文字であることを理由に本件出生届を受理しなかったことが認められる。

2 ところで、子の名には、常用平易な文字を用いなければならないとされ(戸籍法50条1項)、常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定めるとされているところ(同条2項)、」法務省例である戸籍法施工規則60条は、常用平易な文字とは、①常用漢字表(昭和56年内閣告示第1号)に掲げる漢字、②別表第二に掲げる漢字、③片仮名またはひらがなのいずれかと定めているから、同条各号のいずれかに該当すれば、当該文字を子の名に使用することができる。もっとも、同条各号に該当しない文字であっても、家庭裁判所は、心理手続きに提出された資料、高知の事実に照らし、当該文字が社会通念上、明らかに常用平易な文字と認められるときは、当該市町村長に対し、当該文字を子の名に使用した出生届の受理を命じることができると解される)最高裁判所平成15年12t浮き25日決定。民集57巻11号2562頁参照)。
 これを、本件出生届に申立人両名の二女の名として記載された「玻」の文字について検討するに、まず、「玻」の文字が、社会通念上明らかに常用平易な文字と認められるか否かを検討する。
 この点、申立人両名は、「玻」の文字は、ワープロ入力などでも難なく変換・表示される一般的なものであると主張するが、ワープロ等で「は」を入力して変換した場合、すべてのソフトで一回で「玻」用例としては、「玻」に変換されるわけではないことが認められる。また、講談社「新大辞典」などの辞典に掲載されているが、その用法としては、「玻璃」のみであり、同単語も一般的に使用される単語とは認めがたいし、また、一件記録によれば、「玻」の文字を使用するb氏や地名等も多いと言うことはできない上、その他同字が社会通念上明らかに平易である文字であることを認めるに足りる的確な資料はないこと(なお、平成21年1月17日付の朝日新聞の報道によると、現在、文化審議会国語分科会の漢字小委員会は、常用漢字表の見直し作業をしているところ、日常よく使われる漢字として追加される191字に「玻」の文字は挙がっていないことが認められる。)に照らすと、「玻」の文字が、社会通念上、あきらかに常用平易な文字とすることはできないといわざるを得ない。
 そうすると、本件出生届を不受理とした名古屋市東区長の処分は、違法または不当とはいえないから、、申立人両名の本件申し立てをいずれも却下すること(なお、申立人清恵については、本件出生届をしておらず、申し立て権ないし本件申し立ての利益があるといえるか疑問があり、申し立て権などがない場合には本件申し立てが不適法となるし、仮に、もうしたてけんなどがあるとしても、上記の通り、本件申し立てには理由がないことになるから、同人本件申し立ても却下を免れない。)、主文の通り審判する

 平成21年1月26日
    名古屋家庭裁判所
     家事審判官   西田政博


 たったこれだけの短い文章でした。
 一番最初に「却下する」の文字が目に飛び込んできました。この文字を見たときには、子供の受験で不合格通知を受け取ったときと同じくらい「え?なんで?? どうして?」という気分でした。

 文面は平易で、一度読めば、裁判官の言いたいことが良くわかりました。「つまり、①ワープロ変換で簡単にできない機種がある②辞書で、「玻」の用例が少ない。③氏・地名が少ない④文化審議会国語分科会の漢字小委員会の見直し候補に挙がっていない。④同じ字の申し立てをした名古屋市瑞穂区の夫婦も棄却されているということでした。

 これを読んだとき、私はひどく落胆して、「駄目なんだ。法律の壁は厚い」なんて、ガックリ落ち込み、「これから、玻南の漢字はどうすればいいの??」なんて、目の前真っ暗な気分でした。
 一方、主人は「・・・使われていないって言うんなら、実際の使用例を集めてみたらいいんじゃない? 氏や地名も。ワープロ変換簡単にできないって言うんだったら、コジマ電気とかにいって、実際どのくらいの数が変換できてどのくらいの数が変換できないのかを調べたらはっきりするんじゃない?」と冷静にいいました。
 
 普段は優柔不断ではっきりしなくて、家の中の98%は私任せで肝心なことは全部私任せの怠け者な主人です。無駄に私の周りにいる暑い夏のとき、やたらと家中に変な棚を作って死蔵品を増やすとき、何回言っても冷蔵庫に適当に食べ物を突っ込んで死角を作り結果カビの培養をするとき、たたんだ洗濯物を適当にみんなの引き出しに突っ込んで必要な服の行方不明者を多数出すとき、子供の受験やお稽古で私がいっぱいいっぱいになっているときに「だから僕は嫌だって言ったのに」と「自分は苦労したくない」発言が出るとき、何でか油断できないお出かけのときに限って10年使い続けている色あせたしかも短パンをはいて来ていることに目的地で気づくとき、「金城武みたいだろう?」とか何とかいって後退前髪も含めて後ろで縛る痛々しい姿を見るとき、何日もひげをそらずにインチキくさい容貌になっているのに気にしないとき、深夜番組を見て朝起きれない子供みたいなことをするとき。「あ~、本当に離婚したい」と何度思ったか知れないダメダメ主人ですが、このときばかりは主人と結婚してよかったとつくづく思いました。
 冷静に審判書の中身を吟味して、冷静にその可否を判断できる主人がどんなに格好良く見えたか!!!  ・・・結婚して15年以上たって、いまさらながらではあるものの「つり橋理論」で主人が格好良く見え、惚れ直しましたね(笑)。
 そして、私たちの第二ラウンドが始まりました。   (続く)